アルジェリアという国名を聞くと、私達の世代ならフランス植民地支配への独立戦争を描いた映画「アルジェの戦い」を思い起こすでしょう。青春時代真っ只中に公開され大きな反響を呼び、ドキュメンタリー・タッチ形式の映画としては、異例のヒットとなったことを記憶しています。
少し年配の方なら、戦前のフランス映画「望郷(ペペルモコ)」を思い出すかも知れません。日本が軍国主義に突入した頃の暗い世相の中で大ヒットした名画として、主演のジャン・ギャバンの印象と共に多くの方の記憶に残っていると思われます。余談ですが、この「望郷」は日活映画全盛期に、石原裕次郎主演の映画で完全なパクリがありました。
あるいはカミユの「異邦人」の舞台としても有名ですね。
しかし何といっても、日本人がアルジェリアと聞けば、懐メロの「カスバの女」でしょう。
涙じゃないのよ 浮気な雨が
ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ
ここは地の果てアルジェリア
どうせカスバの夜に咲く
酒場の女の薄情け
1970年代にリバイバルヒットしましたが、私の記憶では1970年の学生運動が挫折した時期に、歌手・エト邦枝の気だるい歌い方がうまくマッチしていました。
さて、アルジェリアは北西アフリカ、通称マグレブ諸国の中央にあり、国土面積は世界11位の広さを誇ります。又かつてはOPEC(石油輸出国機構)のリーダーでもありました。地中海を挟んで首都アルジェの対岸はフランスのマルセーユ港ですから、何でこれが「地の果て」なんじゃいと、クレームがつきそうです。

もっとも、「カスバの女」の作詞家・久我山明(孫牧人)はアルジェリアを見たことも無いでしょうし、映画の「望郷」や「外人部隊」からイメージして詩を作ったのでしょうから、無理もありません。
処がアルジェリアに実際に行って見ると、確かに「地の果て」に来たという感慨に襲われます。
4月26日から5月3日の間、アルジェリアのツアーに参加しました。参加者は14名、旅行社はトラベル世界で添乗員はベテラン西田あかねさんです。往復は経由地のローマでそれぞれ1泊しましたので、実質の観光日数は9日間でした。
添乗員の西田さんはアルジェリアでは、なぜか「アリババ」と呼ばれていて人気があります。晴天の時にも傘(日傘ですが)をさしていたり、何か行動が怪しいのでしょうか。そういえば、海外で日傘をさしているのは大概日本人の女性ですね。白人に比べ日焼けに強い筈の日本人が、日傘を好むというのも妙なものです。
アルジェリアは1992年から、軍事クーデターやそれに続くテロや暴力行為などで数万人の人が殺害され、時には外国人もその標的となりました。そのため国際機関を含めた殆どの外国人が国外へ退去し、海外からの旅行者も途絶えました。最近になってようやく国情が落ち着き、昨年末より海外からの旅行者を受け入れるようになり、今回の訪問となったわけです。
しかし、私達の旅行中に出会った旅行者は、アルジェ除けば数名のグループをいくつか見ただけで、集団でツアーを組んでいたのは私達だけでしたから、まだまだ一般的とは言えない状況です。
アルジェリアの正式国名はアルジェリア民主人民共和国といい、首都はアルジェ、人口は3200万人です。日本の数倍の国土を持っているのですが、その85%がサハラ砂漠で、人が住めるところは10%以下です。そのため人口密度は日本とほぼ同程度となります。
人種はアラブ人が80%、先住民族のベルベル人が19%となっていますが、町で見かける限りでは、フランスの植民地であった関係からか、ヨーロッパ人との混血が多いように思えました。
宗教はイスラム教・スンニ派で国教となっており、国民の大半はその信者です。