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南部アフリカ旅行記 その11

私たちは南部アフリカの中心であるヨハネスブルグ空港に降り立ちました。
実際の旅程ではこの空港を何回も通過するのですが、編集上ここで初めて南アフリカ共和国(南ア)に入国したことにしておきます。

ヨハネスブルグ空港ですが、不正が行われる場合があるので、次のような注意が必要です。
①空港での保安検査や入国の通関検査の時に、現金を抜かれる場合があるので、係官が手荷物検査している間は、絶対に目を離さないこと。
私を含めて数人が経験しましたが、暗がりに連れて行かれ、手荷物の中の紙幣だけを検査されます。その際、別の係官が話しかけてくることもありますが、自分のバックをじっと見つめていることが大事です。
②現在液体の機内持ち込みが制限されていますが、その空港の売店で購入し、密封包装された液体は機内持ち込みが許されています。
処が、ヨハネスブルグ空港に限っては、係官の判断で商品が平気で没収されます。
特に高級酒類やブランド物化粧品が狙われ、抗議しても受け付けないので要注意です。きっと係官の臨時収入に化けるのでしょう。
③預け入れ荷物のロストですが、ヨハネスブルグーナミビア間でコンテナー1本分の積み忘れがありました。スーツケースが開けられる場合もあるようですから、貴重品や生活必需品は手荷物にした方が良いでしょう。

のっけから物騒なことを書きましたが、ヨハネスブルグ周辺の治安の悪化がそれだけ深刻なのです。
南アには現在3つの世界一があると言われています。
①離婚率は南アが世界一
②犯罪発生率はヨハネスブルグが世界一
③殺人事件の発生率は、ヨハネスブルグのヒルフロー地区が世界一
①はともかく、②③は有り難くない世界一です。
余りに治安の悪さに高級ホテルのいくつかはヨハネスブルグを撤退しました。
ホテルに宿泊した場合日中でも、外出は控えた方が良いとされています。

強盗にあっても警官は来ないので、中流以上の家庭はみな警備保障会社(武装してます)と個別に契約し、身を守っています。この費用が毎月5-6千円取られるので、バカにならないとか。
金持ちになると、電流を流した有刺鉄線を周囲に廻らし、銃を持ったガードマンが警戒しているようです。
商店のウインドーには鉄格子が嵌められ、レストランは夕方過ぎると店を閉めてしまいます。

南アフリカといえば、かつてのアパルトヘイト(人種隔離政策)と、それと闘い黒人政権を打ち立てたネルソン・マンデラ大統領が直ぐに頭に浮かびます。
アパルトヘイトや止めさせ、民主化が行われたのに、なぜ治安が悪化したのか、率直に疑問を感じてしまいます。

治安悪化の最大の原因は、豊かな南アに周辺の貧しい国々から沢山の不法移民が押し寄せてきたことです。ヨハネスブルグに一体どの位の住民が住んでいるのか、政府は掌握できません。
そうした人々が犯罪に走るケースが多いわけです。
白人黒人の隔離政策は無くなりましたが、格差はそのままです。
かつて黒人は虐げられ、みんなが貧しかったのが、黒人政権が生まれて以後、金持ちになる黒人も出てきて、黒人内部にも格差が生まれるようになりました。
経済格差は、むしろ拡がっているという意見もありました。
政治家や高級官僚に就いた黒人の中で、汚職やワイロが横行するようになり、この点では白人政権当時よりひどくなっているそうです。
そうした事が、貧しい黒人層の怒りを買っているようです。

アパルトヘイト時代は、確かに黒人に対する差別や弾圧がありましたが、反面白人達が彼らを保護していたという一面もあるようです。例えば義務教育が無料であったとか。
それが現在有料となり、貧しい黒人層の子供たちが学校に行けないという事が起きているようです。
教育が受けられなければ、就職が出来ない、だから犯罪に走る。
警察力が圧倒的に弱いといことも、犯罪が多い理由の一つでしょう。
マンデラ政権の時に死刑を廃止したので、凶悪犯罪が増えてしまったという人もいました。
勿論、現在の政権を否定するものはありません。ただ治安対策に遅れがあるのも事実です。

2010年にはこの地で、サッカーのワールドカップが開催されます。
それに向けて現政権がどのように治安回復を進めるのか、大いに注目されます。

ヨハネスブルグは夕方の到着となり、バスでソウェット地区に向かいました。
ここはアパルトヘイト時代の黒人居住地域で、その当時黒人はここでしか住めなかったのです。
現在はそうした制限は廃止されましたが、貧しい層の人々が今でもここに暮しています。
走行中のバスの車窓からの撮影で、しかも夕方なので、少々ボケていますが参考までに。
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中央に見える建物はマンデラ・ハウスです。
ネルソン・マンデラさんが1963年に逮捕されるまでここに住み、27年後に釈放された時も、この家に戻ってきました。
3DK程度の質素な住宅です。
マンデラさんが使っていた机、ベッド、洋服などが展示されています。
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なお現在のマンデラさんは政界を引退し、3度目の結婚をして、幸せに暮しているそうです。
by kanekatu | 2007-08-02 11:18 | 南アフリカ

憂きな中にも旅の空


by kanekatu