花の季節に「桜庵」に泊る
2009年 04月 15日
良い陽気に恵まれたこの季節、私も白魚に負けずにお花見に。
といっても都内のおおかたの桜は散ってしまい、すっかり葉桜に変っています。それならばと、近場ですが箱根あたりはまだ身ごろかと思い、4月11日から1泊で出かけることにしました。
在来線でトコトコと小田原経由、箱根湯本に着きました。
1日目、泊りが箱根湯本に決めていたのであまり奥には行きたくない、さりとて葉桜ではツマラナイということで折衷案として、小涌園の近くの「蓬莱園」に向かいました。
湯本から路線バスでおよそ30分、車窓から山腹の雑木林に満開の山桜を見ることができました。蓬莱園は小涌園バス停から2-300mほどの位置にあり、あまり広くない公園です。
園内には桜とツツジが共に咲き誇っていました。
こちらは山桜で、少し小ぶりの真っ白な花をつけていました。
再び路線バスで湯本に戻り、今日の泊りである「桜庵(おうあん)」に向かいました。
普段なら宿泊費が高く手が出ませんが、某クレジット会社の特別キャンペーンを利用して格安で泊れることが分かり、利用することにしたのです。
このクラスの旅館になると、いきなり着いても常に数名の従業員が玄関先で迎えてくれるのに感心します。「桜庵」の名前の通り、エントランスの前庭に桜が咲いていました。
ロビーでソファに座ったままチェックインの手続きができ、その間にオシボリと飲み物が出ます。
このホテルは須雲川の岸辺に建てられていて、地上4階地下1階(露天風呂)の建物です。私たちの部屋は1階でした。
中庭は竹林になっていて美しい景観を呈しています。
こちらは廊下です。
ここのセールスポイントは豪華な内装です。
天井・壁は全て国産の天然木材を使い、壁は左官仕上げで表具も凝っており、日本建築の粋を集めたような内装で、さすが建築業協会賞を受賞しただけのことはあります。
部屋は全部で3室あり、広さはざっと50㎡くらいでしょうか。夫婦二人では広すぎるスペースです。
こちらが次の間。
居室の床の間。生花が美しい。
内風呂は檜造りで、入浴するととても良い香りがします。洗面所も木仕上げです。
浴衣は一人二枚用意され、タオルとバスタオルは浴場に用意されているので、風呂の往復が手ぶらで済みます。
露天風呂は地下1階にあり、建物の裏側に遮蔽物がないため全面開口で、とても眺めが良い。残念ながら写真はありません。
部屋の外には芝居の舞台のようなベランダがしつらえていて、湯坂山の上に残る山桜を見ることはできました。
眼下に流れる須雲川です。聴こえるのは渓流のせせらぎと鳥のさえずりだけで、実に静かな宿です。
部屋食は懐石料理で、温かいものが一品一品運ばれてきます。
量は丁度良いぐらいですが全て美味で、何より器が凝っていました。
前八寸は文箱入りで、小鯛、はじかみ、フォアグラ、このわたなど。
椀盛はグリーンピースの豆腐、冬瓜、蕨、柚子など。
お造りは扇面にのせて。
煮物はぜんまいの信田巻き、竹の子、飯蛸、ふきなど。
この他、焼き物、揚げ物、強肴、ご飯と汁、フルーツ、甘味と一通りで、いずれも量は少なめですが、とても美味しく食しました。
それと特筆すべきは、部屋係りの従業員のマナーの良さです。担当は30歳手前の若い人でしたが、親切だけど過剰にならず、心のこもった応対をしてくれて、これは気分が良かったですね。
チェックアウトの時に渡された小さな封筒の中に、この人からの礼状が入っていました。定型の文章だけでなく、私たちが部屋で交わした会話も取り入れられていて、こういう細やかな気配りが良いですね。
一晩ゆったりと旅館で過ごしたいという人には最適な施設だと思います。少なくとも、今までに泊った宿の中ではベストでした。
ご夫婦で年に1回だけ、二人の特別の記念の日にこの旅館に泊るという方がいましたが、気持ちが分かります。
2日目は、この期間の特別サービスで、ホテルの送迎バスが小田原城址公園まで送ってくれました。
こちらも花の盛りは過ぎていましたが、やはり桜は石垣に良く映えます。
城の堀に桜並木が映っています。
枝垂桜は今が最盛期で
この真っ白な花びら、桜の種類は分かりませんが、こちらも満開でした。
1泊の短い旅でしたが、宿が良かったせいで、とても良い思い出になりました。