三度のインド(エローラ編)4
2016年 02月 05日
34の石窟が、シャラナドリ台地の垂直な崖に掘られており、5世紀から10世紀の間に造られた仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の石窟寺院や修道院(僧院、僧坊)などから構成されています。仏教寺院(仏教窟)の数は第1窟から第12窟、ヒンドゥー教寺院(ヒンドゥー教窟)は第13窟から第29窟までの17窟、ジャイナ教の寺院(ジャイナ教窟)は第30窟から第34窟までの5窟となっています。それぞれ石窟は近接している上に作られた時期も重なっています。
それぞれ100年以上かけて人力だけで造ったもので、巨大岩盤に綿々と掘り下げた人間の叡智と努力の結晶と言えましょう。
ヒンドゥー教ですが、ヒンはヒマラヤ、ドゥーは海を指すのだそうで、インド的な複数の有神教宗派の教徒の総称です。ヒンドゥー教徒の数はインド国内だけで8.3億人に達し、キリスト教、イスラム教に続いて、人口の上で世界で第3番目の宗教です。
ジャイナ教は紀元前5世紀頃に興き、特にアヒンサー(不害)の誓戒を厳守するなどその徹底した苦行・禁欲主義をもって知られるインドの宗教です。およそ2500年の長い期間にわたりインド文化の諸方面に影響を与え続け、今日もなお少数ながら無視できない信徒数を保っています。私も一度ジャイナ教の信者に会ったことがありますが、身体に蚊や蠅がたかっても追い払うだけで決して殺さないそうです。
仏教も紀元前5世紀頃に釈迦が開いたものなので、ほぼ同時代と言えます。
初めにお断りしておきますが、普段使っていないカメラだったせいか設定が悪く、途中まで失敗ばかりしていていました。ジャイナ教と仏教窟の写真が少ないのはそのためです。
ジャイナ教窟から見学を始めました。
石窟の入り口。
本尊の像と思われます。
彫刻です。もっと繊細な作品が沢山ありましたが、残念ながら撮影に失敗しました。
象の彫刻です。32窟も上から掘り下げて造っているので天井がありません。
10窟は代表的な仏教窟で、ストゥーバを祀るための寺院です。正面のストゥーバの前には大きな仏像が足を開いた形で置かれていて、7世紀頃からはストゥーバ自体が次第に目立たなくなっていた事が窺われます。
天井部分に施された細かな彫刻です。
エローラ石窟群の中で最大の見ものはヒンドゥー教窟の第16窟で、通称「カイラーサナータ寺院」と呼ばれています。この石窟の特長は巨大な一枚岩を上から掘り下げて造ったもので、8世紀の中ごろに当時の石工たちがノミだけを使って約100年かけて彫ったものです。
当然、設計図が無ければ出来ないし、強度計算も必要だったでしょう。そう考えるとその当時から高い技術水準を保っていたという事になります。
カイラーサナータの入り口。
塔門。
象の彫刻で、後方は宮殿。
基壇の宇宙を支える像たち。
右がスタンバで石柱の高さは17m。左がナンディ堂でシヴァ神に仕えるナンディ牛が安置されている。
本堂の裏に並ぶ小堂。
細かな彫刻の一部。
寺院外壁に彫られたラーマーヤナの彫刻。
シヴァ神とパールバティ像と思われる。
カイラーサナータの一部。全体はこの画像のおよそ4倍ほどになる。
感想としては、人間の力の崇高さに頭を垂れる思いです。
昼食は「ターリー」と呼ばれるインドの定食料理で、大皿の上に数種類のカレーの入った小皿と、ナンやチャパティ、プーリーなど主食が一緒に乗せてあります。
夕方にオーランガバードからエア・インディア442便にてデリーに移動。夕食は焼き物のタンドゥーリ料理でした。
私はナンとカレーさえあれば十分という性質なので、料理には不満がありません。
アルコールはビールだけで、昼食は大瓶で350-500Rs、夕食は小瓶で900-1000Rsが相場でした。
次回はジャイプールです。