憧れのレバノン・3(レバノン杉)

私たちが宿泊したブシャーレは標高1450mですが、周囲は普通の民家が立ち並び高度を感じません。この辺り一帯はガディーシャ渓谷と呼ばれていて、レバノンでも屈指の景観を誇ります。
ブシャーレからバスでさらに5㎞ほど上ると、レバノン杉が自生する神の杉の森に到着しました。
世界遺産に登録されています。
レバノン杉は、紀元前にフェニキア人の繁栄の原点になったことでも有名です。フェニキア人は、当時レバノン山脈全域に自生していたレバノン杉からガレー船を始め、船舶の建造材として使用し、地中海貿易を制覇していました。
レバノンの沿岸部各地にフェニキア時代の遺跡が数多く残るのは、そのためです。
また、木材やレバノン杉からとった樹脂をエジプトなどに輸出していました。
旧約聖書によればソロモン王の宮殿内部はレバノン杉で装飾されていたとあり、建材としても広く使われていたことが分かります。
レバノン国の象徴として、国旗中央にレバノン杉が描かれています。
しかしレバノン杉は長年の伐採がたたり、2004年現在は1200本程度が残るだけになってしまいました。まだ樹齢1200年以上のものが、400本ほど残っています。
現在はレバノン杉を保護すると同時に植樹を行い、その中心がこの杉の森です。

国内で2番目に大きいと言われるレバノン杉です。
木の形から分かるように実際は杉ではなく、マツ科の樹木です。
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標高が高いので、この時期でも雪が残っています。
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樹齢2000年と推定されている木です。
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森の中はこうした遊歩道が整備されています。
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新しい木を植樹していますが、なにせ成長が遅いので育つには長い年月を要します。
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1本の木が二つに分かれたもの。
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枯れてしまった木に彫刻されたもの。一番高い所にあるのが、キリストの磔刑を彫ったものです。
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近くのハリッサ展望台から見たレバノン山脈で、3000m級の山頂は雪に覆われています。
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眼下に見えるのがガディーシャ渓谷にある家々。この景観も世界遺産に含まれています。
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次の観光は、聖アントニオス修道院です。
聖アントニオス(アントニウス、アントニヌス、アントニー)は251年にエジプトに生まれ、キリスト教の聖人です。。
様々な苦行を通して聖人にまで達するんですが、苦行中に悪魔が現れたり、豊満な女性の幻覚を見せたり、暴力で恐喝したりと何とか彼を堕落させようとしますが、アントニオスは悪魔に屈せずにキリストを信じ、人々に信仰を伝え続けたと言われています。
このエピソードは「アントニウスの誘惑」という題材で多くの画家が描いています。
その一つは、ロヴィス・コリント作の下の絵画です。ヒェーと頭を抱えて悲鳴を上げている様子です。
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私ならコロッといかれてますね。聖人になるのは絶対に無理です。
彼を信仰する修道院は各地にあるようで、このブシャーレ近郊のものもその一つです。
崖の中腹にある小さな洞窟は、修道僧が神と出会う場所です。
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修道院に付設された博物館。
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館内に展示されている印刷機。17世紀に制作されたもので、マロン派の聖書が印刷されました。
それまでは手書きだった聖書は、印刷機の登場で一気に大衆の間に拡がるのです。
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狂人の洞窟と呼ばれる岩屋で、精神錯乱になった人を鎖でつないで治すというもの。随分と荒っぽいですね。
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修道院としては12世紀には機能していましたが、この建物は1861年に建てられたものです。外観がイスラム教の寺院に似ています。
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礼拝堂は洞窟の中に作られています。
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午後はビブロスの観光です。


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Commented by saheizi-inokori at 2018-04-13 10:44
アントニウスの誘惑、誰の描いたものだったかは忘れましたが、国立西洋美術館で見ました。
こんな岩窟で誘惑されたわけじゃないのでしょうね。
Commented by kanekatu at 2018-04-13 16:18
アントニウスは美女に迫られるだけならいいんですが、悪魔によってたかってボコボコにもされるんです。もう洞穴に一人閉じこもって耐えるしかなかったんでしょう。
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by kanekatu | 2018-04-13 10:32 | レバノン | Comments(2)

憂きな中にも旅の空


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