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憧れのレバノン・8(アンジャール)

アンジーャルはレバノン山脈の麓にあります。
660年から約100年間イスラム帝国を支配したウマイヤ朝の最盛期のワリード1世の命により、アンジャール宮殿は建設されました。
ウマイヤ朝の首都はダマスカスでしたが、アンジャールはベイルートの中継地点に位置して古くから繁栄してきました。
ここからダマスカスまでは50㎞、道路さえ整備されていれば1時間強で着ける距離です。国境の向こうでは今なお血なまぐさい戦闘が行われているかと思うとぞっとします。
遺跡の全景で、総面積は11万4000㎡という広大なものです。
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町は上下水道が完備されていました。
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レンガ積みの間に柔らかい層を作っているのは、地震で壊れないようにするためです。
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通りの両側には600以上の店が立ち並んでいました。
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道路は十字路で仕切られていて、それぞれ東西南北の方向に向かっていました。
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列柱の中で唯一原型をとどめています。これが道路の両側に並んでいたんですから、さぞかし壮観だったのしょう。
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神殿です。
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神殿内部で、かつてはレバノン杉で作られた天井がありました。
壁のデザインがいかにもイスラムです。
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ハマームで、構造は下から蒸気が出てくるローマ風呂と同じです。
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夕食のメインは、ご飯の上に羊肉をいためてトロミをつけたものを乗せた料理。どうもレバノン料理というのはメーザ(前菜)主で、メインが副食という印象です。
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現在、レバノンには約150万人の難民が暮らしていることは以前に紹介しました。
難民キャンプというと何となく仕切りがあって、その向こうに1ヶ所に集められているという印象でいました。
バスの車窓から見る限りでは、あちこちにキャンプがあり、一か所の単位もそれほど大人数というわけではなさそうです。ベイルートの町の中にもありました。
灰色のテントの群れが見えるだけで、市民との間の壁や仕切りはありません。
現地ガイドにどうしても訊きたかったのは、難民に対してレバノンの一般市民はどう思っているのかでした。
微妙な問題だと思いましたが、ガイドは次の様に答えてくれました。
パレスチナ難民については、レバノンでは仕事をしてはいけない事になっているので、直接的な影響はない。他国へ出国する人もいるし、それは自由だ。今でも故郷に戻りたいという人が引き続きレバノンに留まっている。
一方、シリア難民についてはレバノンで仕事をしても良いことになっている。
現在レバノンは不況で、失業率は30%に達している。そこに新たな低賃金の労働力が供給されれば、失業率はますます高くなるのは避けられない。
シリアの内戦も収束しつつあり、早めに帰還して欲しいが、これだけはレバノンだけでは決められず関係各国との調整が必要なので、今は見守るしかない。
同じ難民でもパレスチナとシリアでは扱いが異なるようで、それは恐らくかつての内戦からの影響もあるのでしょう。
ガイドの立場もあるでしょうから、これ以上深入りしないことにしました。


by kanekatu | 2018-04-22 08:52 | レバノン

憂きな中にも旅の空


by kanekatu