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憧れのレバノン・9(バールベック・上)

6日目はいよいよバールベック遺跡の観光です。
その前に2ヶ所の観光がありました。
一つは、バールベック近郊にあるニハ神殿の遺跡、ニハ村にあるのでこう呼ばれています。
バールベックとほぼ同じ時期、ローマ時代に建てられたようですが、目的など詳しいことは分かっていません。
こちらの神殿を便宜的に太陽の神殿と呼んでいます。
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そしてこちらが月の神殿。
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名前の由来はこの神官のレリーフで、神官の冠の上に月の形が描かれているからあです(撮影のミスで頭が切れている)。
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神殿の柱の上部にはライオンが彫刻されていて、雨水h雨どいを通ってこのライオンの口から下に流れていたようです。
この構造は、後から見るバールベックのバッカス神殿と同じ形になっています。
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次はバールベックとは目と鼻の先にある石切り場です。距離からしても、ここがバールベック建設に使った石材の供給工場の一つだったんでしょう。
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面白いのは、ここに使用不能と思われる巨大な石材が残されていることです。
一つが1100tや1600tもする石材を何に使おうとしたのでしょうか。
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あまりに大き過ぎて運搬もできずに、このまま放置されてしまったと想像されています。
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レバノンの中央を走るレバノン山脈と、
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シリアとの国境線となっているアンチレバノン山脈。
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その間に挟まれた地帯をベカー高原と呼んでいます。
バールベックとは「ベカー高原の主神」を意味していて、ここにフェニキアの神ハダド(バアル)が祀られていた事に由来します。本来はフェニキア系の神々の聖地だったわけです。
しかし後にギリシア・ローマ系の神々と習合し、祭神はジュピター・ビーナス・バッカスと呼ばれるようになり、遺跡はこれら三神をそれぞれ祀る三つの神殿から構成されています。
世界でも有数のローマ神殿跡として、世界遺産に登録されています。
BC1世紀頃からローマ帝国の手により最初にビーナス神殿が築かれ、続いてジュピター神殿やバッカス神殿が建てられ、皇帝ネロの時代には神殿はほぼ完成したと見られます。
2.3世紀には中庭や柱廊などの造成も行われました。全体の建設には約400年間を要しました。
しかし4世紀になって、ローマ帝国のコンスタンティヌス帝がキリスト教を国教と定めた後は、キリスト教徒によって神殿が破壊されました。その後、ジュピター神殿跡はキリスト教の教会に変わったと考えられています。
低い土地にあったバッカス神殿だけは土に埋もれてしまっていたので、破壊を免れて、今日もその雄姿を見ることができます。

バスの車窓から列柱の一部が見えてきました。
いよいよ憧れのバールベックに着きました。
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ビーナス神殿です、神殿の周囲には列柱が配され、庭や池などがあるのでこの様な大きなスペースになるのです。
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ビーナス神殿。
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当時の神殿の復元イラストで、ビーナスという名の通り優雅な姿をしてたんですね。
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この復元イラストがバールベックの全景を表しています。
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右上が主神殿であるジュピター神殿、一段と高い位置にあることに注目ください。土台の高さが7mもあり、この石を敷き詰めるだけでも大工事だったでしょう。
階段を上がると玄関で、次に六角形の前庭があり、そこを通ると神殿の庭になります。ここで様々な宗教的行事が行われていました。
庭の周囲は列柱で囲まれていました。
奥に雄姿を見せているのがジュピター神殿ですが、ここは完全に破壊され、今は神殿左側にあったコリント式の柱6本だけが残されているだけです。
左下がバッカス神殿で、唯一原形を保っています。
左下が、今見て来たビーナス神殿で、大きさの相対比較が出来ると思います。

入り口の階段で、これも残っているのは一部です。
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六角形の前庭部分。
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前庭から神殿の庭に入る入り口。
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床にゴロゴロと転がっている石材にも、こうした彫刻が見られます。
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神殿を取り囲んでいた列柱ですが、向かって左側は完全に破壊され、右側の一部だけが残されています。写真左の一段高くなっている所に神殿がたっていました。
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列柱の一部。
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壁面に残る動物のレリーフ、ライオンでしょうか。
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ここだけ比較的保存状態が良いのは、キリスト教の教会に使用したのでしょうか。
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神殿に残された柱の一部で、直径が2m、長さが3.5mあり、これをタテに3段重ねて柱を作っていました。石材と石材の間はカミソリの刃1枚も入らないほどの精度で、石材の加工技術といい、建築技術といい、現在の技術をもってしても相当に難しいものですから、驚異的としか言えません。
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本来は右側にただ一か所だけ残された神殿の6本の柱が見えるのですが、残念ながら補修中でカバーがされていました。
全てが大きすぎて、写真では伝えられません。

次回はバッカス神殿です。



by kanekatu | 2018-04-24 07:09 | レバノン

憂きな中にも旅の空


by kanekatu