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真夏の京都・洛北寺巡り その1

「夏どこに行こうか」「京都」という妻の鶴の一声で、8月19,20日京都に一泊旅行です。国内旅行については、昔から我家は婦唱夫随です。よく考えると、旅行だけじゃないですけどね。
今回は妻のリクエストで大原を中心に洛北へ。

 ♪京都 大原 三千院
  恋に疲れた女が一人・・・♪
1966年に「女ひとり」がヒットするや、大原も三千院もがぜん有名な観光地となりました。今も昔も、ヒット曲の影響というのは絶大です。

鯖街道という言葉を聞かれたことがあると思いますが、福井県の若狭地方で獲れた鯖などの魚貝類などを京都に運ぶための街道です。若狭から京都市左京区の出町柳まで、現在は国道367号になっています。
京都市中から北へおよそ12キロ、山に挟まれた谷間の道を走ると、やがてのどかな田園風景が広がってきます。そこが大原です。
途中ハ瀬を過ぎたあたりから、旧鯖街道に入りました。乗用車がすれ違うのも難しいほどの細い道をしばらく走ると、最初の目的地である寂光院に着きました。

寂光院は、平家物語のヒロインの一人建礼門院が、侍女の阿波内侍とともに余生を送ったところとして有名な尼寺です。
壇の浦の合戦で建礼門院は幼い安徳天皇を抱いて入水しますが助けられ、その後この地でわが子・安徳天皇と平家一門の冥福を祈り、生涯を終えたと伝えられています。
本堂は淀君の手で再興されましたが、残念なことに2000年に起きた火災(放火と見られる)により焼失してしまい、現在の本堂は2005年に再建されたものです。
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そんな建礼門院を哀れんで後白河法皇がここを訪れたといわれていますが、それが有名な平家物語の「大原御幸」です。
「池のうきくさ 浪にただよい 錦をさらすかとあやまたる 中嶋の松にかかれる藤なみの うら紫にさける色」と読まれた樹齢千年の姫小松が画像右端に見えますが、先の火災で2年前に枯れ死してしまいました。モッタイナイですね。
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どことなく寂しさが漂う境内の景色です。
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それにしても火災による被害は本尊にも及んでいて、実に痛ましい。
歴史的価値の高い寺ですが、人気がイマイチなのは気の毒なことです。

タクシー運転手さんのお勧めで、車で10分程度かかる古知谷にある阿弥陀寺を見学することにしました。
この阿弥陀寺は、1609年弾誓(だんぜん)上人が開基した如法念仏の道場で、山深い場所にあります。
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本道の中に安置されている阿弥陀如来坐像は国の重要文化財に指定されています。
又この寺は皇室とも縁が深く、閑院宮並びに有栖川宮(勿論本物のですよ)の祈願所となっていました。
このご縁で高松宮、東久迩宮、最近では秋篠宮が、それぞれ参拝に訪れています。
こうした由緒ある寺ですが、いわゆる観光コースから外れているせいか、拝観に訪れる人も多い日で10名程度とか、寂しい限りです。
京都の街を歩いて感じるのですが、ごく一部の「勝ち組」寺社と多くの「負け組」寺社に分かれているような気がします。
ここでも格差が拡大しているのでしょうか。

参道の脇を流れる実相の滝です。
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寺の門ですが、随分と変った形をしています。
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大原に戻り、先ず宝泉院へ。
松竹梅を配した額縁庭園がありますが、脇の窓から1枚、なにせこういうショットが好きなもので。
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格子ごしに見る鶴亀庭園です。
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新たに作庭された宝楽園。
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こうした新規の設備投資が出来るのも、参拝客が多いからでしょう。
元々は勝林寺の坊である宝泉院ですが、結構人が入っているのは、偏に三千院の直ぐ近くというロケーションのせいでしょう。

さて唄に歌われた三千院、伝教大師最澄が開基したとされていますので、9世紀頃に建立されたと思われます。
以来この大原の地は、天台声明の修行の地として信仰を集めます。
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当日はいつもより参拝客は少ないとのことでしたが、どうしてなかなかの繁盛です。
土産物売り場の多い寺で、商売上手です。
その甲斐あってか、ここ最近建てられたと思われる新しい建物が多い。
反面、国宝の阿弥陀三尊像は遠くて良く見えない。

こちらは三千院の中心である往生極楽院です。1148年建立とされていますが、見た目は新しく感じます。
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庭にある童地蔵という変ったお地蔵さまです。
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商売熱心なチャラチャラした寺というのが、私の三千院に対する評価です。
by kanekatu | 2006-09-16 12:57 | 京都

憂きな中にも旅の空


by kanekatu