中央アジア紀行 その5

私たちはウズベキスタンのヒヴァを出発し、陸路で国境を越えて、トルクメニスタンに入国しました。
私たちは普段海外旅行に行く際に、多くの国境を越えています。しかし飛行機で上空を飛んでいるので、その実感も無く、面倒な手続きも必要ありません。
空港での入出国手続きは簡単に済みますが、陸路の場合は、どうしてこんなに時間が掛るのかと訝るほど手間取ります。
稀に形式的な手続きだけで済む場合もありますが、通常は2時間、場合によっては3時間以上要することもあります。
反面、長いトラックの行列風景を眺めたり、買出しや出稼ぎに行く人と時には短い会話を交わすこともあり、陸路の国境越えは空路では味わえない雰囲気があります。
ただ、どこの国でも写真撮影が禁止なのは残念ですけど。

トルクメニスタンの地図を下記に掲載します。
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トルクメニスタンは、中央アジア南西部に位置する共和国です。カラクム砂漠が国土の80%を占めていますが、豊富な石油や天然ガスを埋蔵しています。
西側はカスピ海に面し、アフガニスタン、イラン、ウズベキスタン、カザフスタンと国境を接しています。
首都はアシュガバート。

国土は日本の1.3倍ですが、人口は500万人足らずです。
民族はトルコ系のトルクメン人が8割を占めています。
宗教はイスラム教スンニ派。

中世の頃は主として遊牧民生活だったのですが、同時に奴隷狩りを行って生活の糧を得ていたようです。
19世紀後半にロシアに侵略され、その支配下に入ります。同時に遊牧民の生活から、ロシア向け綿花栽培を中心とした農耕生活に移ります。
1924年には、社会主義国としてソ連邦に組み込まれます。
ソ連崩壊後の1991年に、現在の共和国として独立を果たします。

1995年の国連総会において、永世中立国として承認されます。
2005年にはロシア主導のCISを脱退しており、ロシアとの経済関係は維持していますが、最近は石油や天然ガスのビジネスを通じてアメリカとの関係を強化しています。

しかし何といってもトルクメニスタンの名が世界に知れているのは、1985年の旧ソ連邦時代から2006年に亡くなるまで、一貫して国の指導者であったニヤゾフ前大統領による独裁国家であったという点でしょう。
中央アジアの北朝鮮、ニヤゾフ氏は中央アジアの金正日と呼ばれていました。
議会は民主党による事実上の1党独裁であり、大統領選挙はニヤゾフ氏しか立候補せず、得票率は99.5%、更に終身大統領になった際の賛成率は99.99%でした。
ニヤゾフ氏は自らを、トルクメンバッシュ(トルクメン人の長)と称しています。

サパルムラト・ニヤゾフ氏の独裁ぶりを示すエピソードには、事欠かない。
先ず町を歩いていると目に付くのは、ニヤゾフの銅像と大きな肖像画です。本には50mおきと書かれていますが、それ程ではないにしても、とにかくやたら多いのは確かです。
どこへ行っても、肘をついてニッコリしている写真が飾られていて、気分が悪くなるほどです。
銅像はどれも金ぴかで、首都のランドマークである中立の塔の最上部では、360度回転しています。
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ニヤゾフ前大統領の著書「ルーフナーマ(Ruhnama)は国民必読の書とされ、コーランと同等とされており、学校では教科書として使われています。
驚いたのは、この本の像があることで、それも開いたり閉じたりを繰り返していました。

ニヤゾフがメロンが好きだから、メロンの日を作り、国民の祝日としています。
本人がガンを患い禁煙にしているので、国内では煙草は禁止にしています。
この他、金歯、オペラ・バレエ・サーカス、口パクで歌うこと、若者のヒゲ、TVキャスターの化粧などが全て禁止です。
理由は、ニヤゾフが嫌っているからです。

TVは国営放送だけですし、インターネットも禁止です。
その結果、世界の報道の自由ランキングでは堂々のワースト・2位で、世界最悪の独裁者ではワースト・8位にランクされています。
反面、衛星放送のパラボラアンテナ普及率は世界一ということで、実際に国民は自由に情報を得ています。
公共施設に掲げている肖像画も、ベルディムハメドフ現大統領のものに置き換わりつつあり、これからは変ってゆくのではないでしょうか。

これだけの独裁体制でありながら、国内が比較的平穏なのは、社会福祉が手厚いためでしょう。
教育費、医療費は無料。天然ガスが全戸に配管されていて、電気・ガス・水道など公共料金が無料だそうです。
航空運賃や長距離列車の運賃は2-3ドル、市内バスは5円程度。
生活必需品の物価はとても低く抑えられており、市民生活は豊かに見えました。
物乞いがいないのが、その何よりの証拠です。

独裁国家であっても、それなりに国民が納得しているのなら、外部から文句をいう事も無いのかも知れません。
永世中立国であって独裁国家、そういう不思議な国へ私たちは入国したわけです。
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by kanekatu | 2007-10-18 10:37 | トルクメニスタン | Comments(0)

憂きな中にも旅の空


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