中央アジア紀行 その16(最終回)

早朝にバスでサマルカンドを出発して、東北に向けて走ること約6時間、午後1時半に最初の出発地タシケントに戻りました。
前夜から38.5℃の熱が出た状態でのバス移動は、きついものがありました。
体調を崩しても連泊の場合は、観光を一日パスすれば済みますが、移動日の場合はどうしようもありません。健康管理に気をつけていても、2週間の旅程となると維持するのが難しい面があります。
この旅行社では、シルクロードを2ヶ月間で踏破するコースも設定され、結構人気を呼んでいるのだそうですが、参加者はよほどの鉄人ですね。

国道の両側は写真のように山が続き、その間には草原が広がり、放牧されている牛や山羊、羊が草を食んでいる牧歌的な風景が見られます。
ちょうどタシケントからサマルカンドに向かう列車が走っていました。
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午後の観光は、ウズベキスタン歴史博物館からスタートしました。
現地ガイドが建物を見つけるのにウロウロ探していたのを見ると、ウズベキスタン人はあまり博物館には行かないのでしょう。入館すると私たちのグループと、他に外国人観光客の数名のグループがいるだけで、館内は閑散としていました。観光客で混みあっていたトルクメニスタンの国立博物館とは大違いです。
2Fが歴史の展示の中心となっており、目玉は仏像です。
テルメズ近郊のファヨーズ・テベ遺跡から出土した写真の仏像は、1-3世紀に栄えたクシャン王朝時代のもので、完全な形で出土した第一級のガンダーラ仏とされています。
なんという穏やかな表情でしょう。
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この他にも、シルクロードを通して、西はギリシャから東は中国まで広大な地域から伝えられた文化の影響を示す壁画や、
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顔は人間の鳥の彫刻など、興味ある展示品が並んでいます。
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博物館の近くの地下鉄の独立広場駅があり、中央アジア唯一の地下鉄の乗車を体験しました。
旧ソ連時代の1970年に開通したもので、3つの路線がありますが、料金はどこまで乗っても15円程度と格安です。
乗車といっても、3駅乗ってまたそのまま元の駅に折り返すだけですが、やはり公共交通機関に乗るというのは楽しいものです。
乗客の多くがビジネス客のようで、男女ともスーツ姿が目立ちました。やかり女性は美人揃いでした。
感心したのは、私たちが車両に乗りこむと、周囲に座っていた若い人たちが皆立ち上がり、席を譲ってくれたことです。往復ともにそうした具合で、この国では年配者に席を譲るというのは、当然のことなのでしょう。
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旅の終わりはナヴォイ劇場の見学と、場内にあるレストランでの夕食です。
ナヴォイ劇場は、1947年に完成したオペラとバレエの劇場で、収容人数は1500人、劇場前の噴水は綿花をイメージしたものです。
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大戦でソ連によりシベリアに抑留されていた日本人捕虜数百名がこの地に強制移送され、ナヴォイ劇場建設に従事させられました。
そのせいか、1966年4月26日にタシケントを襲った大地震にも、びくともしなかったと称されています。
劇場の側面の壁には、写真のような文字盤が設置されていました。
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その後タシケント発のウズベキスタン航空便で7時間弱、成田空港に帰着しました。

中央アジアで隣り合わせの国、ウズベキスタンとトルクメニスタンは共に旧ソ連邦に属していました。
トルクメニスタンが親米の方向に舵を切ったのに対し、ウズベキスタンはロシアと友好的です。対ソ感情も概して良好で、今でも昔のソ連時代の方が良かったという人も少なくないようです。
道路や鉄道といった基盤はソ連時代に造られ、現在もそのまま使っています。
公共料金や生活必需品の物価が安く、義務教育は4-3-3年制で無料であるのは、やはり旧ソ連の社会主義時代の遺物と言えるでしょう。

住宅価格はトルクメニスタンと同様に安く、タシケント市内の3LDKのマンションでも250万円程度で買えます。
世界各地で訊いた限りでは給与水準に拘わりなく、首都の中心部の住宅価格は日本と大きな差がないのが普通ですが、この両国では格安です。もしかすると入居資格の条件が厳しいのかも知れません。

給料は公務員で3万円、教師やサラリーマンは1万円程度だそうで、物価が安いにしても生活は楽ではないでしょう。
公共料金やガソリン代がタダ同然のトルクメニスタンと異なり、ガソリン代が75円/リットル、天然ガスは月3000円定額で使い放題(暖房も全てまかなえる)という金額は、なかなか辛いと思われます。
そのせいか、トルクメニスタンでは目にしなかった物乞いが、ウズベキスタンにはいます。
競馬はあるのに馬券が無いトルクメニスタンと比べ、ウズベキスタンでは馬券が1枚1000円もして、当たれば最高は新車2台だそうですから、この辺りお国柄の違いも出ています。

15日間の中央アジア旅行の感想ですが、観光の中心はモスク、メドレセ、廟といったイスラムの宗教施設が大半で、確かに一つ一つは目を瞠るものがありますが、毎日毎日そればかり見ていると、どれがどれやら分からなくなり、単調な印象となります。
メキシコのマヤ遺跡巡りに似ていますね。
せっかく2国を巡るなら、例えばウズベキスタンと自然の景観に恵まれているキルギスと組み合わせるなど、企画に一考を要するのではと感じました。

今回で中央アジア紀行は最終回となります。
長い間お付き合い頂き、有難うございます。
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Commented by うさぎ at 2007-12-25 17:50 x
その後、お体の具合はいかがですか?

また貴重な旅行記を読ませて頂き、ありがとうございました。
中央アジアのイスラム建築の美しさを堪能させて頂きました。
それに、シベリアに抑留されていた日本人捕虜が強制移送された、ナヴォイ劇場建設の話も、聞いたことありますよ~。
日本人にとっては、誇らしいことですよね。
お食事も、民族楽器も・・・色々とレポートされ、
楽しく拝見しました。

旅行中に体調を崩しながらも、よくぞこれだけの旅行記を書かれたものだと、ただただ感心しました。
本当にお疲れ様でした。
今後は、あまりご無理されないようにね。(^。-)-☆


Commented by kanekatu at 2007-12-26 15:09
うさぎさん、おいでやす。
コメントとお見舞いの言葉ありがとうございます。
もうすっかり良くなって、そうなると次の旅行を考え出し、次回は1月にツアーの参加を予定しています。
中央アジアにこれだけの建造物があるとは想像つきませんでした。当時のシルクロードの繁栄と、どれだけの富をもたらしたかしのばれます。
旧ソ連地域を歩くと、どこでもシベリアに抑留されていた日本人の跡が残されています。酷い環境の中で大変な苦労をしながらも、地元の人々に感謝されるような仕事をしてきたことに、胸が詰まる思いになります。
旅行記を書きながら、改めて思い至る出来事も多く、本人は結構楽しんで書いています。
これからも断続的に掲載してゆきますので、ご愛読下さい。

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by kanekatu | 2007-12-02 17:22 | ウズベキスタン | Comments(2)

憂きな中にも旅の空


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