イエメンの砂漠に陽が落ちて(2)

サナアでは先ず国立博物館を見学。どこの国でもそうでしょうが、国立の博物館というのは、自国の国民は余り関心が無いようで閑散としていました。日本だって、どれだけの人が上野の博物館を訪れたことがあるでしょうか。
展示も一言でいえば、さして見るべきものがありません。ただこの建物はかつてのイマームの王宮であり、1962年に最後の国王が在位わずか1週間で革命が起きて内戦になり、結局王政が廃止となった舞台になりましたので、その意味では見る価値があります。
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その後イエメンでの最初の昼食をとりました。
ホズスというナンですが、拡げると新聞紙の見開きくらいの大きさで、折りたたまれてテーブルの上にドンと置かれます。これを千切って食べるのですが、美味でした。お代わり自由ですが、そうは食べられない。近くのテーブルで食べていたイエメン人は、一人で1枚平らげていたようで、食べる量が違います。
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メインはフエダイの唐揚げですが、見かけと違ってこれも美味。いやイエメンの料理は意外と美味しいねと話していましたが、その後の10日間で結局この日の料理が最高の味となりました。
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昼食後は、世界遺産に登録されているサナア旧市街の観光です。
サナアは人類が築いた最古の都市と呼ばれていて、聖書に登場するノアの箱舟の、ノアの息子サム(セム語族の祖とされる)が開いた街という伝説が残されています。
標高2300mに位置し、日中こそ温度が上がるものの、爽やかな気候が感じられます。
現在6000棟の建物と、5万人の人がここに暮らしています。
街の建物の外観は全て赤茶色のレンガと白い漆喰に統一されていて、それ以外の色は一切使われていません。
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ここでイエメン人の服装について説明しておきましょう。
男は白い色の服が基調で、上は長袖シャツに下はズボンか巻きスカートのような物を着ています。
しかし何と言ってもイエメンの男の象徴は、ジャンビーアとよばれる鞘(さや)のついた半月刀を、へその前に差していることでしょう。
祖父から父へ、そして息子や孫へと代々伝えられているのだそうで、宝物のように大切に扱っています。
ヨォ、この色男!
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女性の服装は、外套(がいとう)、ショール、ベールをふくめて目だけ出し、頭から踝まですっぽりと身体を覆っています。色は大半が黒で、南部に行くとカラフルな色が使われているケースもあります。
子どもや若い女性の中には顔を出している人もいますが、年頃になると家族にも顔を見せないのが習慣だとか。
下の写真は、母親と女の子とその弟の三人連れを撮ったもので、大変貴重な画像です。
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一般的にイスラムの国というのは、写真を撮られるのを嫌う傾向がありますが、イエメンはその傾向が顕著です。女性は子どもでも撮影は難しく、成人女性に至っては殆んど不可能に近い。男でもはっきり拒否されることがありました。従って人物のスナップの多くは、景色や建物の写真に写っていた一部を使うか、後姿を写したものが多いことを、始めにお断りしておきます。
この旅行記恒例の世界の美女シリーズは、イエメンに限ってお休みになります。

路上で遊ぶ幼い子どもたちで、子どもの姿だけはどこに行っても変らないですね。
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婦人服の店です。女性たちは表に出る時は真っ黒な姿ですが、家に入るとこうした鮮やかな色の服を身につけているのだそうです。
余談ですが、下着の色もこうした原色系のようです(下着売り場で確認)。
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旧市街の道路は、高い建物の間を迷路のようにクネクネと這っています。
中世の世界に迷い込んだような気分になり、とても首都の街とは思えません。
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イエメンの建物は、サナアのように石造りや地方によれば日干しレンガ造りが大半で、1,2階は店舗や倉庫(農村では家畜や穀物の倉庫)にしており、住居は3階以上になっています。
窓は砂よけや防衛のために小さくとられていて、その代わり窓の上に「カマリア窓」と呼ばれる半月形の明り取りが取り付けられ、そこにステンドグラスなどが嵌め込まれています。
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窓の部分を拡大しましたが、赤茶色のレンガと白い漆喰、それに木製の窓と「カマリア窓」のステンドグラスが見事に調和し、独特の美しい外壁を表出しています。
この建築様式はイエメン全土に共通しているようです。
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ダウッドというホテルの屋上から見たサナア旧市街の中心部です。
およそ近代化とは遠く離れた光景に、サナアの街の魅力があります。
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建物の最上階は「マフラージ」と呼ばれる客間になっていて、家具や調度品も立派なものを揃え、「カマリア窓」も一回り大きなものが付けられています。
ここのホテルの場合は、新婚さん向けの部屋として使われています。
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スーク(商店街)を歩いていると、薪を燃料にフイゴで風を送り、トンテンカントンテンカンと鍛冶屋の職人が、農具を作っている光景にぶつかりました。
 暫時(しばし)もやまずに 槌(つち)うつ響(ひびき)、
 飛び散る火の花 はしる湯玉(ゆだま)。
 鞴(ふいご)の風さえ 息をも継(つ)がず、
 仕事に精出す 村の鍛冶屋(かじや)。
童謡「村の鍛冶屋」は、日本ではもう見られない光景になりましたが、イエメンでは今も生き続けています。
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スークを歩いていると、買い物に来ている女性の姿が見られます。
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旧市街に入り口イエメン門の上から撮影した広場の光景です。
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イエメン門の正面です。
男同士が手をつないで歩く光景は奇妙に見えますが、イスラム教の国ではごく普通の光景です。
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一見すると近代文明から忘れ去られたような街に見えますが、自らの伝統文化を頑なに守って暮しているイエメン人の姿こそ、サナアの最大の魅力かも知れません。
それにしてもイエメン到着後に休憩無しでのサナア観光は、少々疲れました。
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Commented by うさぎ at 2008-02-21 10:20 x
わくわくしながら拝見しております。

先ず、エミレーツ航空に乗れたなんて、ラッキーでしたね。
私も一度は乗りたいと思っておりますから。
それと、ずっと尋ねたいと思っていたのですが、17時間のフライト~腰は痛みませんでしたか?
homeー9さんといえば、遠方へどんどん出かけておられますが、
日頃から海外旅行にそなえて、何か運動でもして体を鍛えておられるのでしょうか?

イエメン人の建築物の美意識に感心しております。
ステンドグラス~といえば、欧州の教会を思い出されますが、
アラブ系の一般のお宅で、ステンドグラスを使用されているなんて、
想像もつきませんでしたね。
イギリス統治下の時代の影響でしょうか。

それから、最期のお写真の、イエメン門で手をつなぐ男性。
ホントですね~こんなのイズリムではフツーですね。
男同士でキスしたり、ペアで喫茶店に入って、蜂蜜まみれの思いっきり甘いものを食べていたり・・・。


Commented by kanekatu at 2008-02-21 18:12
うさぎさん、おいでやす。
エミレーツは快適です。JALよりサービスが良いかもしれません。
長時間フライトですが、前の晩殆んど眠らず、離陸して間もなく睡眠剤を飲み、その後食事の時にアルコールを呑むと熟睡できます。だからあまり苦になりません。
運動は特にしていませんが、ウエイトコントロールだけは気を付けています。
イエメンの「カマリア窓」のステンドグラスですが、ツアーで周遊したどの地域にも共通して見られます。中世に建てられたシバームの建築でも同様なので、イエメンの伝統的な建築様式だと思われます。砂嵐と高温から守るため窓を小さくし、その代りに明り取りをつける、これがイエメンの住居の特徴です。
男同士のキス、それも結構親愛な情をこめているのを見ると、ちょっと気持ち悪いですね。でも挨拶の時になんらかのスキンシップをする国は多く、日本のようにお互いが離れて頭を下げるだけというのは、むしろ少数派ではないでしょうか。
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by kanekatu | 2008-01-29 10:03 | イエメン | Comments(2)

憂きな中にも旅の空


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