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イロも残らず(1)

俗に”七つ八つからイロハをおぼえ、ハの字わすれてイロばかり”と申しますが、アタシもその口でした。
歌舞伎は七つ、寄席は八つから行き始めました。
ですから、当代の坂東三津五郎なぞも、曽祖父である3代前の舞台を見てるんですから、まるで化石ですね。
その頃、役者の科白を聞いて直ぐに空んじてきちゃあ、隣近所の叔父さん小母さんさんに聞かせます。
誉められると益々好い気になって、とまあイヤニませたガキが出来あがった次第です。
芝居独特の科白廻し、リズムが何時の間にか身に付いてしまうもんで、有名な与三郎の科白も本で読み覚えて、親に聞かせたら驚いておりました。
その後本物の舞台を、あれは先代団十郎の与三郎でしたか、科白を聞いたら自分とほとんど同じ節回しであったので、大いに気を良くしたものです。

寄席は落語の合間に色物というのが入りますが、どういうわけかアタシはこの色物の、特に音曲が大好きで、
”弱虫が、たった一言ちっちゃな声で、捨てちゃいやよと言えた晩”
”明けの鐘、ゴンとつく頃三日月形の、櫛が落ちてる四畳半”
”緋縮緬、肩からすべってのぞいた乳房、にっこり笑って消すあかり”
なんてぇ都都逸を聞いて、ヨオヨオと叫んでいたのですから、困ったもんです。
でもその歳で何となく意味が分かったのですから、すえ恐ろしいですねえ。
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by kanekatu | 2005-02-20 00:01 | 生い立ち | Comments(1)

憂きな中にも旅の空


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